今回の記事はアレクサンダー・テクニークと一般的な整体との違いについて書いたものです。
アレクサンダー・テクニークと一般的な整体の違いは、整体は身体に焦点を当てるのに対して、アレクサンダー・テクニークは「身体と思考」を関連する1つのユニットとして扱い、両方に対してアプローチをしていきます。
なぜ、両方を一度に変化させる必要があるかというと、身体と思考は密接に関連し合っていて、身体だけを変化させても思考がそのままでは、身体は元の状態にに戻ってしまうとアレクサンダーテクニークでは考えているからです。
それでは、アレクサンダー・テクニーク教師が具体的にどのようなアプローチをするかを説明していきます。まず、ボディワークで相手の身体に触れて状態を観察して身体の筋肉的緊張を見つけ出し、その緊張を緩める方向に身体を促します。
次に、ボディワークによって身体に対する感覚がどんな状態に変化したかを相手に質問します。
相手は頭や腰などの身体の位置関係や筋肉緊張度などの変化を教えてくれます。
質問の意図は普段通りの身体ではない状態、身体のクセがなくたった状態を相手がどのように評価をしているのかを知るためです。
この時にフィードバックは2つに分類されます。
「軽くなった」
「重くなった」
「動かしやすい」
「動かしにくい」
などの身体に起きた出来事。
もう1つは、
「落ち着いた感じかする」
「違和感がある」
などの身体に起きたことへの本人の評価です評価です。
この2つの区別は大変重要で、特に後者の評価はテクニークの効果が持続するかどうかに関わってきます。
例えば、ディスクワークをもっと楽にしたいと希望されている方の場合、まずはボディワークによって腰回りの筋肉の不必要なクセやねじれを見つけ出して緩め、余分な緊張を軽減します。
その時点で「身体」は楽になっていくのですが、一方で頭の姿勢制御センサーがいつもと異なる姿勢をしていると判断してしまい「思考」は違和感を感じてしまいます。
違和感があると、普通ではないことが起こっていると頭は判断するので、心は落ち着かない気分になり、気分を安定させるために以前と同じ姿勢状態に戻そうとします。
身体を元の状態に戻さないポイントは、【長期間その姿勢でいたので脳がその状態が普通のことだと学習してしまっていて、新しい姿勢は異常なことだと解釈しているのだ】ということを頭で理解することです。
そうして時間をかけて慣れていくと、最初に感じていた違和感がだんだんとなくなっていき、新しい姿勢のまま過ごせるようになっていきます。
アレクサンダー・テクニークでは受け身で身体を楽にしていくのではなく、自分の身体のクセを自覚してもらい、自然な状態で楽になれるよう積極的に学習してもらいます。
「身体と思考」の繋がりは体験するととても興味深いものです。
これからもアレクサンダー・テクニークに取り組みながら、引き続き研鑽を深めてまいりたいと思います。