音楽家へのレッスン

今回は音楽の先生がアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けてくれました。アレクサンダー・テクニークは身体の楽な動かし方や効率的な使い方を提案するので、音楽やダンス、スポーツなど、あらゆるパフォーマーの方に怪我や故障などに対する予防的なアプローチをすることができます。

特に音楽家は職業上同じ動きを繰り返すので、わずかな身体の歪みでも身体を痛めすい傾向にあるようです。

今回の方も、痛みこそありませんでしたが肩や腕に慢性的なだるさがあり、特に困ってるのは、ピアノの伴奏をする際、あるパッセージを弾く場面になると肩が硬くなってしまうということでした。

そこで実際にピアノを演奏してもらうと、たしかにある場面で肩が硬くなり、動くのが辛そうな身体状況になっていました。

私はあることに気がつきました。肩が硬くなるとともに腰にもその方は力を入れているようでした。そのことについて質問すると腰についてはよく分からないと言われました。そこで、アレクサンダー・テクニークを使い腰にもっと柔軟性が出るよう導きました。すると、腰が柔らかくなるとともに、肩の余分な力が抜けてスムーズに演奏できるようになりました。

どうやら、演奏のやりづらさの原因は肩ではなく、腰にあったようです。

不都合が出ている場所に原因があるとは限らないのが人間の身体の不思議ですね。これからも観察と探求を進めていきたいと思います。

肩の筋肉を固めている状態
腰と肩を緩めた状態

身体を自分で整える方法

アレクサンダー・テクニークの究極的な目的は、自分の身体の面倒を見ること、セルフケアが目的です。

講座では自分で自らの身体を観察する方法を知ってもらって、身体を楽にして効率よく快適に日常生活が送れるようになる事を目指します。

なので、施術をして身体を緩めるのは、それ自体が目的ではなく、心身に対して「ここまで身体は楽になれるのですよ」という可能性を示しているのに過ぎません。目的は筋肉が緩む『結果』ではなく、そこに至る『プロセス』なのです。

大切なのは、自分の身体を緩めるために、自分のどこが筋肉が固いのか知ることです。それもただ場所を知るのではなくて、どのように固めているかを知ることが大切です。

例えば肩こり。人それぞれ肩の筋肉を固めるパターンは無数にあり、肩を前方に押し出す人は『まき肩』になり、それに加えて、首も一緒に前に押し出す人は『猫背』になります。

一概に肩こりといっても人それぞれ原因が違います。なので肩こり解消体操というのがあっても、効果がある人とない人に別れます。

肩こりの原因を別の言い方をすれば、そのような『くせ』が知らず知らずのうちに身についているという言い方もできます。

自分の『くせ』を知ることは、自分の面倒をみる大切な助けとなります。

緊張した肩と首
緩んだ状態の肩と首

緊張の痕跡

緊張の痕跡

その方は、PCを使った長時間のデスクワークが多く、身体トラブルの改善や疲労の軽減を目的に、三ヶ月くらい講座に通って来てくれていて、なかなか良い感じに身体が整いつつある感触を得ていたのですが、今回お会いすると、今までにないくらいに首と背中が丸まって、ひどく猫背の姿勢になっていてびっくりしました。

お話を伺うと、新しい業務を開始して大きなプレッシャーを感じながら仕事をされているとの事。早速、施術をして首や肩の筋肉を緩めると、そこには緊張の痕跡が一本の線となって現れました。

改めて心身の繋がりの強さを感じ、より良い状況を目指して、さらに学びを深めていきたいという意欲が湧いてきました。

皮膚にしっかりと残った緊張の痕跡。
皮膚にしっかりと残った緊張の痕跡。